なんとなくつぶやいて作ってしまった物理学アドベントカレンダーの1日目です。絶賛参加者募集中です。
物理学 Advent Calendar 2014 - Adventar
きっかけになったツイートはこちら。
@aetos382 あ、物理学アドベントカレンダーやります
— たなか (@tanaka_733) 2014年11月4日
最初は、NMRとMRIについて書こうかなあと思ったものの、長くなりそうなので、1日目なのでさくっと珍しい話題にしてみます。あと、物理をやっていたのは10年近く前の話なので、細かい言葉の使い方がおかしいとか、知識が古いとかいう点はご了承ください...
小学生のころに、物質の三態というのを習ったとも思います*1。固体・液体・気体の3つの状態ってやつです*2。小学生のころだと、水を冷やして氷に、水を沸騰させて水蒸気にという実験をやった記憶があります*3。
で、今さくっと水を冷やして氷にって言いましたが、ほとんどの物質は液体から冷却する(温度を下げる)と固体になります。が、世にも珍しく液体を「加熱する」と固体になる物質があります。それがヘリウム3です。
ヘリウム3とは
ヘリウム3ってなんや?という感じですが、ヘリウム4の同位体になります。ヘリウム4は風船や飛行船を浮かばせたり、声変わりガスで一般に「ヘリウム」と呼ばれているものです*4。同位体というのは化学的性質は同じだといわれていますが、物理的な性質は異なっており、とくにヘリウムはもともと核子が4つ(陽子2個と中性子2個)と3つ(陽子2個と中性子1個)という違いになるため、質量比がおおよそ3/4と大きく異なるため、かなり物理的性質が異なっています。
相図でみるヘリウム3
さて物質の状態(相)の移り変わりを見るとき、相図というのを使うとわかりやすいです。一番ありふれているのは温度と圧力を2軸にとって、その物質の状態を表したものです*5。水の相図はこんな感じです。
液体(緑色の部分)をどう加熱しても(横軸で右側に移動する)、固体にならないことがわかります。
で、ヘリウム3の相図ですが、こんな感じです。
ポイントは下記にピンクで丸をつけた部分で、曲線の傾きが右肩下がりになっています。
この領域においては、液体(水色の領域)から加熱すると固体(黄色の領域)に移ることがわかります。
さいごに
さて、この相図、軸の単位を見ればわかるように、絶対温度100mK (0.1K = -273.15+0.1 ℃)、圧力30気圧前後と超低温高圧の世界です。そもそもヘリウム(3も4も)は、大気圧下では絶対零度まで下げても液体のままという特別な物質で、さらにヘリウム3は液体を加熱すると固体になる領域があるという非常に珍しい物質です。
ヘリウムはその質量が軽いがゆえに量子性が強い物質でこんなことが起きています。いわゆる不確定性原理に基づき、温度を下げても量子ゆらぎにより原子が振動します(零点振動)。ここから先は、1回のブログでは書ききれないので、このサイトを見て雰囲気でもつかんでいただければ幸いです*6...リクエストあれば解説するかも...
というわけで、なんとかかんとか物理学アドベントカレンダーの1日目を書きあげました。こんな長くなくていいし、学術的というより感想でもいいので、物理学アドベントカレンダー書いてみてください!